個人が共同募金会に寄付をする場合、所得税法の「特定寄附金」として税制上の優遇措置が設けられています。 この優遇措置には①所得控除と②税額控除の2種類があり、各個人が有利な方を選択して申告をすること ができます。一般的には②税額控除が有利となる場合が多いと思われます。
「寄附金控除」の適用を受けるためには確定申告が必要となります。(原則として、共同募金会から発行される「寄付金の領収書」の添付が必要です)
①所得控除・・・ |
寄付者のその年分(1月~12月)の課税対象となる所得金額から寄附金控除額※1を控除します。
※1寄附金控除額=寄附金の額(年間所得の40%を限度)-2千円 |
②税額控除・・・ |
寄付者のその年分(1月~12月)の納付すべき所得税額から寄附金税額控除額※2を控除します。
※2寄附金税額控除額=(寄附金の額(年間所得の40%を限度)-2千円)×40% ただし、その年分の所得税額の25%を限度 |
(注)住民税にも寄附金税額控除の規定がありますが、国税である所得税とは異なり、地方税である住民税は寄付先の共同募金会が所在する都道府県内に住所があることが必要となります。
寄附金税額控除額={寄付金の額(年間所得の30%を限度)-2千円}×10%
株主優待物の確定申告について
上記の「特定寄附金」の税制上の優遇措置を受けるためには、確定申告が必要となりますが、確定申告をする際には同時に株主優待物の金額を一般的には「雑所得」として申告する必要があります。
具体例
会社員Aさん 課税所得(所得控除後) 500万円
(給与所得者) 雑所得(株主優待物) 10万円
【ケース1】確定申告不要を選択した場合
会社員やアルバイトなど給与を受け取っている給与所得者で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が 20万円以下である場合は、「雑所得」に係る確定申告は不要とすることができます。(年末調整により確定申告を行わない場合)
※住民税は別途確定申告を行う必要があります。
所得税額 | 500万×20%-427,500円=572,500円 |
確定申告をしないので、「寄附金控除」の規定は適用できません。
【ケース2】確定申告する場合
所得税額 | (500万円+10万円)×20%-427,500円=592,500円 |
株主優待物 | (10万円)を寄付すると... |
①所得控除を選択した場合 | |
課税所得金額 | 510万円-(10万円-2千円)=500万2千円 |
所得税額 | 500万2千円×20%-427,500円=572,900円 |
②税額控除を適用した場合 | |
所得税額 | 592,500円-(10万円-2千円)×40%=553,300円 |
①所得控除を選択して確定申告をすると、申告不要の場合に比べ400円の所得税が増加します。
一方で、②税額控除を選択して確定申告をすると、申告不要の場合に比べ
19,200円の所得税が減少します。
- 説明を簡素化するために復興特別所得税及び住民税は考慮していません。
- 諸条件により、上記結果と異なる場合があります。
- 詳細については、必ず所轄税務署や税理士等の専門家にご確認下さい。